スタビリンクは、サスペンション(力点)の上下運動を円弧運動するスタビエンド(作用点)へ伝える働きをします。ロアアームに接合されスタビライザーを下から作動させるタイプと、ストラットに接合され上から作動させるタイプに分かれます。
両者の関係をたとえるとすれば、釣り竿と糸のようなもの。釣り人の多くは、少ない動きで糸を垂直に上下させようと竿を水平に構えます。スタビライザーを竿、スタビリンクを糸に置き換えると、サスペンションの運動線に対するスタビエンド(作用点)とその軸(支点)を結ぶ直線の角度(作用角)が直角に近い場合においては、力点と作用点がほぼ平行に推移し、ストローク量に比例した理想的なねじれを発生します。逆に、極端なローダウンによってスタビエンドが上方へ跳ね上がった状態では、作用角が鋭角または鈍角となり、お互いの距離を保てず不自然なねじれの要因となってしまいます。スタビライザーを正常に機能させるためには、スタビリンクの全長を調整して作用角を直角へと近づけることがもっとも重要なのです。
調整式スタビリンクの最大のメリットは、スタビライザーにかかるテンション(ねじれ)を緩めることができる点です。純正ダンパーはもちろん、車高調整式サスペンションキットを装着したとしても、左右のサスペンションに生じる荷重差によってスタビライザーには常にテンションがかかっています。テンションがかかった状態では、フラットな路面を直進走行しているときでさえスタビライザーが機能してしまい、サスペンション本来の働きが損なわれる結果となります。調整式スタビリンクを使用してスタビライザーにかかるテンションを緩和することで、サスペンション初動時の鈍い動きが改善され、路面に追従するしなやかなフィーリングを体感できます。